その他の直腸・肛門疾患

大腸癌
大腸癌 近年、男女ともに日本人の大腸癌が増えています。食事の欧米化が原因であると考えられています。
大腸癌の検査には便潜血反応、注腸バリウム検査などがありますが、現在もっとも信頼できる大腸癌検査法は大腸内視鏡で、 当院では高性能の電子内視鏡による検査を行っております。

大腸癌も早期のものは治癒率が高く、特にポリープ状のものは大腸内視鏡検査の際に切除することが可能です。
肛門から出血したり、便に血が混じることがある方、あるいは便潜血反応が陽性といわれた方は、大腸内視鏡検査を受けることをお進めします。

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肛門括約筋不全(便失禁)
【便失禁とは】
大腸癌
便失禁
○直腸内圧測定
○直腸間隔測定
○肛内管超音波検査
×陰部神経伝導速度測定
便失禁のタイプ
    ・漏出性便失禁 食物繊維,ポリフル,チアトンが有効
    ・切迫性便失禁 トレーニング,電気刺激,骨盤体操,手術が有効
便失禁の原因
    特発性 括約筋縫縮やナイロンスリングなどの手術が行われているが、十分な改善はしない。
    括約筋損傷 手術により治癒が可能。

【病態】
肛門括約筋の便を保持するという機能が損なわれてしまうことを肛門括約筋不全と呼び、便がもれてしまうこと(便失禁) の原因になってしまいます。便失禁の程度は粘液や水様便で下着を汚してしまうような軽い程度のものから、 固形の便が無意識のうちに漏れてしまう程度のものまで様々です。原因は分娩時や肛門疾患の手術時の肛門括約筋の損傷のほか、 加齢や神経性の疾患が原因のものもあります。便失禁を訴える患者さんは高齢化社会とともに、近年増加傾向にあり、 便失禁で悩んでいる人が非常に多くなっています。
【治療法】
便の性状の改善と、肛門括約筋のトレーニングで多くの便失禁は改善します。しかし手術が必要となる患者さんも少なくありません。 当院では肛門エコー検査や肛門内圧測定検査などの肛門機能検査を行い、病状、程度を正確に把握したうえで治療方法を決定していきます。 “便のもれ”の原因としては、大きく分けると次の三つのことが考えられます。

1.中枢神経、あるいは末梢神経などの神経の障害
神経の障害が原因で便がもれるようになったもの脳障害による中枢神経の障害や、脊髄障害による肛門括約筋不全は、 治すことができません。最近、末梢神経の障害が原因と思われるものに対しては、神経の移植や人工肛門括約筋なども 試みられていますが、まだはっきりした結論はでていません。
2.肛門手術や、分娩時の外傷などによる括約筋の断裂
肛門手術や分娩時の外傷による括約筋の断裂が原因のものは手術的に括約筋を修復することで、元通りに治すことができます。
状態にもよりますが約2週間位の入院が必要です。
3.老化による括約筋の筋力の低下
老化などによる括約筋の能力の低下による“便のもれ”
括約筋の能力の低下によって便がもれるという人が一番多いようです。
日本にはまだ完全に治す治療法はありませんが、最近行われている低周波電気刺激治療器の使用が予想以上の効果を上げております。特に筋肉の老化によるものに対しては大きく効果があります。

直腸に便が下りてくると我々は便意を感じます。この時、外肛門括約筋という筋肉を緊張させて肛門を閉めると同時に、 恥骨から始まって直腸の後方をぐるっと一周している恥骨直腸筋という筋肉が収縮することによって、直腸を前方に引っ張って折り曲げ、 直腸と肛門の角度(直腸肛門角)を強くすることで、便が肛門に下りて来ないようにしてもれを防いでいます。
しかし、この筋肉の筋力が低下すると、十分に直腸を折り曲げることが出来ず、便がどんどん肛門まで下りてきてしまうために、 外肛門括約筋の力だけではうまく便を止めて便意を我慢することが出来なくなります。
私たちは、このような状態に対して、図のような肛門括約筋縫縮術を行っています。
肛門括約筋縫縮術
この方法は、外肛門括約筋を折りたたむように縫い縮めることで肛門に力を入れやすくし、同時に肛門後方で恥骨直腸筋を 縫縮することによって、直腸を前方に折り曲げて、直腸肛門角を強くすることで便が直腸から肛門にかってに 下りて来にくくしようというものです。
しかし、手術直後から完全に便のもれが無くなるわけではありません。手術で筋肉のゆるみを取って、筋肉が効率よく働けるように することは出来ても、筋力が強化されるわけではありません。その後に、筋力増強のためのリハビリテーションが必要となります。
また、水様便や軟便はどうしてももれやすいですし、硬い便は肛門に無理がかかります。 肛門に負担のかからない質の良い便が直腸に下りてくるように、運動や食事、場合によっては薬を使用して、 根気強く便秘や下痢をコントロールすることも必要です。

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直腸脱
【病態】
肛門から直腸が全層にわたり脱出する状態です。骨盤内の筋力が低下した高齢者に多く、脱出の大きさは鶏卵大から握り拳大にもなります。
強い痛みはありませんが脱出した直腸に羞恥心を持ち外出を控えてしまい、社会から孤立する原因にもなってしまいます。
【治療法】
多くの患者さんは手術以外に治す方法はありません。手術をしても再発が多い病気なので、様々な手術方法が試みられていますが、 当院ではデロルメ法という方法で手術を行っています。
この方法はお腹を切らないで肛門から手術をするので高齢者でも安全に手術ができ、 しかも再発も非常に少なくなっています。当院では、年間平均約30例の手術を行っています。

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直腸膣瘻
【病態】
女性の膣と直腸の間の壁は非常に薄いので様々な原因により穴が開いてつながってしまうと、膣からガスや便が出てきて不快に感じます。
原因としては婦人科の手術、出産時の会陰切開・会陰裂傷、直腸肛門部の手術によるもの、婦人科領域の癌や直腸癌によるもの、 クローン病やベーチェット病などの炎症によるもの、避妊具などの異物によるものなどがあげられます。
【治療法】
小さい穴の場合は絶食にしていれば自然に閉鎖することもありますが、多くの場合は手術が必要になります。

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肛門癌
肛門の癌は大腸癌と比較して1%程度と頻度は少ないですが、肛門は皮膚と消化管の境界にあるという解剖学的特徴から 肛門癌の病態は多彩です。
また悪性黒色腫やパジェット病といった肛門に特徴的な癌もあります。 肛門癌は自己判断で痔と思われていることもおおく非常に危険です。早急の手術が必要になりますが、 進行癌の場合は命を救うためには人工肛門になってしまいます。

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尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスというウイルスの感染により発症し、多くは性行為により感染します。 肛門部の性行為感染症の中では最も多く、また性産業の繁栄、同性愛者の増加などにより近年増加傾向にあります。
肛門周囲に数mm〜数cmのいぼ状の突起として認められ、多発性で時にはカリフラワー状に増殖します。 放置しているとどんどん拡がっていき、また癌に移行することもあります。
初期のうちは軟膏などの薬物療法で消えてしまうこともありますが、 完治には病変部の切除が必要です。多くは外来での手術で治すことができます。

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膿皮症(化膿性汗腺炎)
男性に多い病気で、肛門周囲から臀部にかけての皮下に膿がたまり、排膿、再燃を繰り返しながら慢性的に拡大していきます。 拡大していくと臀部は褐色を帯び凸凹に硬くなっていきます。
汗腺の閉塞、細菌感染、免疫力の低下など複数の要因が 原因として考えられていますが、ほとんどが男性に発症し、約半数に痔瘻が合併しています。
初期のうちは抗生物質で治癒していくこともありますが、拡大してしまうと病巣部を完全に切除しないと根治しません。 病巣が拡がってしまうと、1〜2週間の入院が必要です。

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毛巣洞(毛巣瘻)
尾骨付近の皮下にトンネルを形成し、トンネル内に毛髪を認めることも多い難治性の膿瘍を形成する疾患です。
毛深く皮脂腺の活動が活発な青年に多く発症します。治療は病巣部の完全切除しかありません。
数日間の入院が必要となります。

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肛門掻痒症
肛門周囲に集中したかゆみを伴う疾患の総称です。下痢や過度の肛門洗浄などによる肛門周囲の皮膚炎が誘因となっていることが多いです。
またカンジタなどの真菌の感染による皮膚炎も多い。また糖尿病や肝臓病など全身疾患の一部として肛門に強いかゆみを感じることもあります。病体に応じた軟膏の使用で治りますが、掻いたり石鹸でこすったり皮膚に刺激を与えると治りづらくなります。

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直腸肛門痛
痛みが出現する痔疾患がないにもかかわらず、肛門に痛みを感じるものを総称して直腸肛門痛と呼んでいます。
痛みの程度は違和感程度の軽いものから夜も眠れないほどの強いものまで様々です。原因としては陰部神経痛などの神経性のもの、 肛門括約筋のけいれんによって起こるもの(消散性肛門痛)、肛門周囲の筋肉の凝りによるもの(肛門挙筋症候群)などがあります。
痛みが強いものは鎮痛剤の使用や神経ブロックが必要になりますが、抗うつ薬などの薬物治療が有効です。

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肛門神経症
肛門に対するノイローゼです。代表的なものは自己臭恐怖症といって自分の肛門の臭いが他人を不快にさせているという被害妄想に陥り、 重症になると外出もできなくなり社会生活に支障をきたします。
心療内科との連携による治療が必要になります。

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